派遣会社のマージン率や儲かる仕組みとは?マージン率まとめ
派遣会社からの紹介で働いた場合、派遣先から支払われた金額のすべてが自分の給料になるわけではありません。自分の働いた給料の一部は派遣会社に手数料として取られています。
では、自分が働いている給料はどれだけ派遣会社に取られているか気になったことはありませんか?
この記事では、派遣会社が儲かる仕組みやマージン率の中身など、派遣におけるマージン率について詳しく解説します。
この記事で書いていること
1.派遣会社が儲かる仕組み
人材派遣もビジネスなので、会社でお金を稼がなければいけません。では、派遣会社が儲かる仕組みとは一体何になるのでしょうか?
簡単に言うと、派遣会社の収益源は派遣労働者のマージン(ピンハネ)になります。
1−1 派遣会社の取り分「マージン率」とは?
マージン率とは、派遣料金から派遣労働者賃金を引いた額が派遣料金全体に占める割合です。「(派遣料金の平均)ー(派遣労働者への賃金)÷労働者料金の平均」によって計算されます。
例えば、派遣先企業が派遣会社に、1日10000円の派遣料金を支払っているとします。派遣会社が派遣スタッフさんに1日8000円の賃金を支払っている場合のマージン率は
(10000-8000)÷10000=0.20
この会社のマージン率は20%となります。
正社員のような直接雇用の場合は、雇用主と被雇用者との間で雇用契約を結び、給与も雇用主から直接支払われるのが一般的です。
対して、派遣労働者の場合は、派遣会社と雇用契約を結び派遣先で勤務を行うことになります。そのため、業務の指示などは派遣先企業から受けますが、給与は派遣会社が支払います。
派遣スタッフに仕事を斡旋し、その斡旋の見返りとして、勤務先企業から支払われた給料のうちの一定額を自分たちの利益として受け取ると言う一連の流れが派遣会社が儲かる仕組みなのです。
2.大手派遣会社のマージン率
1986年に派遣法が施行されて以降、悪徳派遣会社が存在しない福利厚生費などを上乗せして、必要以上に派遣スタッフから搾取している、不当に徴収しているなどと言った問題が度々指摘されていました。
そこで、派遣会社の運営費の正当性が分かるように平成24年度の労働者派遣法の施行によって、派遣会社はマージン率公開の義務付けられたのです。
これにより、派遣会社がどれだけ派遣スタッフに給料として支払っているかをマージン率として労働基準監督署へ提出するだけでなく、雇用する派遣スタッフにも分かるようにホームページや就業条件明示書等に派遣料金を記載するようになりました。
ここでは例として大手派遣会社の現在のマージン率を表にまとめました。
派遣会社名 | マージン率 |
スタッフサービス | 31.4% |
テンプスタッフ | 29.1% |
アデコ | 33.1% |
パソナ | 28.4% |
ランスタッド | 27.4% |
リクルートスタッフィング | 28.8% |
マンパワー | 23.6% |
– 2020年2月調べ 各派遣会社の最新公開数値を掲載
派遣会社のマージン率の相場は25~35%と言われており、大手派遣会社も大体その範囲内になっています。
3.マージンに含まれる費用とは
上記の表を見ると、派遣会社によってマージン率が多少異なることが分かります。
さらに、詳しくみるとマージン率は同じ派遣会社だとしても職種によっても違いますし、同じ職種でも雇用形態や営業所ごとによって違う場合もあります。
このように、派遣業界は平均して約30%のマージン率をとっているということになりますが、しかしその全額が純利益として計上されているわけではないのです。
日本人材派遣協会が公表している「派遣料金の内訳」では以下のようになっています。
派遣社員の賃金 | 70.0% |
派遣会社の諸経費 | 13.7% |
社会保険料 | 10.1% |
派遣社員の有給休暇費用 | 4.2% |
営業利益 | 1.2% |
加えて、派遣会社が派遣社員の雇用主として負担する各種の社会保険料が10.9%です(注参照)。派遣社員には有給休暇が発生しますが、取得の際には派遣会社が賃金を支払います。そのための費用が4.2%となっており、派遣社員に関連する費用は85.1%を占めています。
その他、派遣社員の教育研修費用、相談センター等の運営費や派遣社員をサポートする派遣会社の営業担当者やコーディネーターなどの人件費、オフィス・登録センター賃借料、募集費用等をはじめとする諸経費が13.7%。これらすべてを差し引いた残り1.2%程度が派遣会社の営業利益となります。
上記の表を見ると、派遣社員の賃金の賃金70%を引いた30%がマージンということになります。
しかしその30%には派遣社員の社会保険料や有給などの諸経費が含まれています。つまり、30%全てが派遣会社の純粋な利益になるわけではないのです。
マージンに含まれる費用の詳細は以下のようになります。
3−1 社会保険料
派遣料金の約10%が、派遣スタッフの人が加入する社会保険料等に充てられます。保険とは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などです。
3−2 派遣社員の有給休暇費用
半年以上継続して就業している派遣スタッフには有給休暇を付与されます。有給休暇の費用は費用は派遣先でなく派遣会社から支払われ、見込み費用としてマージンの中からその費用が捻出されています。
3−3 派遣会社の諸経費
健康診断費用・募集宣伝費用・就業管理費用・営業費用などになります。派遣会社の営業担当者・コーディネーターの人件費や、その他の諸経費が含まれます。
また、上記の表ではこの中にOAスキル研修・資格講習といった派遣スタッフの教育費なども含まれます。
3−4 営業利益
その会社の本業による利益のことを指します。では、この1.2%と言う数字は多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか?
業界別に表でまとめてみました。
業界 | 営業利益率 |
製造業界 | 5.4% |
電気・ガス業界 | 4.3% |
小売業界 | 2.7% |
IT業界 | 7.3% |
飲食業界 | 4.1% |
サービス業 | 6.5% |
表をみると派遣会社の1.2%と言う数字は業界でもかなり低いことが分かります。ですので、マージンと言っても不当にお金を取られているわけではないのです。
しかし、営業利益が低い業界なのに、なぜ多くの派遣会社があるのでしょうか?それは、以下の理由が挙げられます。
・開業するにあたり初期投資が少なく、また運営に固定費がかからないので必要な資金が少なく済む
・派遣スタッフの回転が良いので、大量に雇用できればまとまった利益が出やすい
このように、比較的簡単に開業でき、必要な資金が少なくて済むという点から、一時期急激に派遣事業者が増えました。その中にはピンハネと言われかねないような運営をする悪徳派遣会社がいるのも残念ながら事実です。
そのような状況を打開するための一つとして、マージン率の公開が義務化されたのです。
4.マージン率が低い会社の方が良い?
業界別で派遣業界の利益は低いということが分かったとしても、他の派遣会社と比較してマージン率が低い会社に行ったほうが、自分の給料から引かれる金額が低くなるからいいのでは?と思う人もいることでしょう。
確かに、マージン率が低ければ勤務先企業と取り決めた派遣料金から引かれる金額が少なくなり、自分の取り分が多くなるので一見良いように見えるかも知れません。
しかし、上記の内訳でも分かるように、マージンの中には、派遣スタッフの社会保険料の費用や福利厚生の費用も含まれているので「マージン率が低い会社の方が良い」かというと、一概にそうとは言えないのです。
派遣会社の派遣会社の福利厚生が充実していれば、教育カリキュラムによってスキルアップを測ることが出来たりするのでメリットになる部分も多いです。
傾向として、サポートが手厚い大手派遣会社の方がマージン率が高く設定されています。
逆に極端にマージン率が低い会社は、サービスの質が低く、会社の運営がカツカツな場合があります。
4−1 マージン率が低い会社にありうるデメリット
・サポートが手薄になる
・福利厚生がない
・昇給しにくい
・交通費が出ない
派遣会社側が受け取るマージン(手数料)が少なくなると、それだけかけられる経費も少なくなってしまいます。つまり、高いマージンを取っている会社だから悪い派遣会社、マージンが低いから良い派遣会社、とは判断ができないのです。
マージン率は派遣会社によってそれぞれ異なります。それはつまり派遣会社によって福利厚生や教育体制の内容も異なるということです。
優良事業者を中心に派遣会社についてしっかり調べ、自分に合う会社を見つけることが大切です。
マージン率で派遣会社選びをするというよりは、他の選定方法で選んでからあくまで悩んだ時の比較の一つとして考えると良いでしょう。
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